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「いつもBlue」にならないために

「忖度してはいけない」と、このごろよく思う。

忖度することで人はダメになる。

もちろん、他人への「敬意」や「おもてなしの心」はとても大切なものである、とした上で。

自分を卑下したり、自分の心を押し殺すほど他人に合わせるのは、いけないことだ。

それは自分にとっても、相手にとっても、つまり全員にとって良い結果を生まない。

 

「分人主義」という考え方があって、簡単に言うと「人は相手や状況に合わせて人格が変わるものだ」という考え方だ。

たとえば恋愛で言えば、一人の人間と特別な関係になったからといって、たとえその人がどれほど特別だとしても、その人に全人格を捧げなければならない理由は無い。

君を好きになるより前に
本当夢中だったmy shit
君にはきっとわからないし
俺もまだ、わかっちゃないし
四六時中 君のこと
考えてんのも変じゃんよ

人はまったく単純じゃない。

それに対して、社会制度は単純だ。

人の思考も社会制度や言語に縛られるから、しばしば単純になりすぎる。

誰かと付き合ったからといって、その人に自分の全人格を捧げなくてはならない理由は無い。

全部をその人に捧げようと思ったら、どこかで自分に嘘をつき、相手に忖度する場面が来る。

こんなんじゃやってけないし
四六時中君の顔
見ながら行動できないよ
優しいだけの男じゃない
俺はwackな恋愛したくない

しかし難しいのは、やはり俺たちの心の中のどこかにロマンティックな部分があって、「全人格的な」関係を求めてもいるということだ。

「君だからすべてを見せるよ」(FLY)

「どこへも行かないで 誰にも触れないで」(My Boo)

「君を全部僕に注いで欲しいんだ」(milk tea)

誰かと何かを分け合うことほど、人生において尊いことはない。

それは確かだ。

しかし「すべてを」誰かに分けようとすれば(そういう場合は普通は「捧げる」という動詞が使われる)、相手を神として扱うのと同じだ。

 

「全人格」ではなく「全人生」

それで結局、落としどころは「全人格」を分け合うのではなく、「全人生」を分け合うことなのかなと、俺はこのごろ考えている。

結局、結婚などの「ステディな」関係において、求められているのは「長期ヴィジョン」だ。

短期(有期)と長期(無期)では、人の行動が変わる。

「ステディな」関係において必要なのは、「相手と必ず長期の関係を築けるだろう」という信頼だ。

ただ、この「信頼」をひどく単純な形に矮小化すると、「あなたという人間をすべてお互い同士の関係を維持するためにに捧げよ」という要求になる。

しかしそれはもはや「信頼」ではなく、「契約」であり、取引が不公正な場合には「搾取」だ。

 

「全人格」と「全人生」の違いがどこにあるかというと、つまり数ある条件の中から「長期」だけを約束するのである。

長期的に二人の関係を大切なものとして扱う。

それにより、協力的な関係を築けるようになる。

普通は明確な期限を決めないから長期というよりは「無期」になり、「無期」は途中で破棄されない限り「死ぬまで」になる。(期限を決めた「長期」は、期限が迫ってくると当たり前の話だが「短期」になる。)

その期間内に、協力関係が築けている限りは、お互いの行動の自由を尊重する。

つまり、「私」と「あなた」の関係は確かに全生涯に渡るものとして一つ確保するのだけど、それはあくまで数ある分人の中の一つであることをお互いに認める。

それ以外の分人も、それぞれに自然に持っている。

 

こういう柔軟性や複雑性を認めない関係は、いつか息苦しくなったり、無理してるみたいになって「Blue」になって破綻する。

これまでの社会では、それでも無理してやってきたのだとは思う。

無理して、誰かに合わせて、自分を押し殺してきた人が、これまでの社会には大勢いたのだと思う。

でもこれからは、自分を押し殺す人が一人でも減るように、柔軟性や複雑性を効果的に取り入れていく社会になるだろうなと思っている。

そうでありたいと思うし、そのほうが大多数にとって利益が大きいのであれば、必然でもあるのだ。

 

 

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