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赤ん坊の気の済むようにしてやる

赤ん坊というやつはだいたい、抱っこされるのが好きだ。

逆に言うと、抱っこされていないと機嫌が悪くなる。

抱っこしているとスヤスヤ寝入るくせに、布団に置いてみると5分ぐらいで目を覚まして呼び声を挙げ始める。

しかもただ抱っこしているだけでもダメで、垂直方向の体勢で抱えてやった上に、立ち上がって歩き回ってやらないと納得しないときている。

それで夜中の1時ごろに赤ん坊を抱えてキッチンあたりをうろつく羽目に陥るわけだ。

話を聞く限り、子供によってそれぞれにこだわりはあるものの、状況はどこも大差ないようだ。

いわゆる「背中スイッチ」として世に言われている現象でもある。

 

で、単にうろついているのも俺のほうが面白くないので、音楽をかけてみることにした。

我が家にはウーハーつきのステレオスピーカーセットと多チャンネル型のアンプを設置している。

この頃はのんびりと音楽を聞く時間もあまりなかったから、いい機会なので久しぶりに体全体で音楽を聞いてみることにした。

ついでに、差し出がましいながらも、赤ん坊にも聞かせてやろうというわけだ。

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Pixies 『Doolittle』(1989)

で、なぜか最初にかけてみたのがPixies。

別に意味やこだわりがあって選んだわけでもないが、穏当なバラードなんか聞かせても面白くあるまいとでも思ったのだろう。

『Surfer Rosa』 ⇒ 『Doolittle』 ⇒ 『Bossanova』とファーストアルバムから順番にかけてみたが、赤ん坊が一番落ち着いたのがセカンドアルバムの『Doolittle』。

ご機嫌とまではいかないものの、とにかく落ち着きはする。

逆に言うと、他の2枚の時は落ち着かなかったので、むしろこっちに問題があるのか?

いずれにしても、老若男女に聞かせる力があってこそのポップネスというわけで、『Doolittle』というアルバムの力を改めて感じた。

しかも、この子が思春期に突入している15年後には、たぶんグランジ系の尖ったギターロックのリバイバルムーブメント真っ只中で、無数の若いバンドが音源をネットで共有しまくって盛り上がっている真っ最中であると思われる。

そういうわけで、今からセンスのいいギターロックに慣れ親しませておくのもこの子にとって悪いことでもあるまいという、教育上の配慮も見せつつ、夜中のキッチン散歩をわりと楽しんでいるのでした。

 

ちなみに、いくら抱いてもあやしても、どうしても泣き止まない時もある。

そんな時には「音楽を変えたほうがいいのかな」などという頓珍漢な心配をしてないで、以下の4点を疑う。

①お腹がすいている。

②オムツが汚れている。

③ゲップの具合などで、胃や食道の辺りが落ち着かない。

④眠いのにうまく眠れない。

俺の場合、自分が音楽に気をとられているからか、どうしても最初に音楽を疑ってしまい、もっと即物的な理由に気づくのに遅れがちである。

俺のように音楽に浮かれた、世の中の能天気な父親たちへのアドヴァイスだ。

音楽やスポーツや文学などはやはり「サブカルチャー」で、オムツや食べ物などがファンダメンタルズのようだ。

 

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