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俺が初めて聞いたR.E.M.のアルバムは『Around the Sun』だった。

これからR.E.M.を初めて聞く人におすすめするなら、俺は今でもこのアルバムを選ぶ。

俺がこのアルバムを聞いたのは、たしか、スペースシャワーかなんかで、「Leaving New York」のビデオを見たのがきっかけだったと思う。

 

 

全体的に青みがかかったこのアルバムのアートワークは、俺がヨーロッパに抱くイメージと重なる。

俺はかつて、自分はヨーロッパのどこかで生きていくのだと思っていた。

JSPORTSなんかで流れるプレミアシップラグビーの中継で映るバースの街並み。

たとえばそんな街に、言いようのない郷愁を俺は感じた。

それでたとえば大学のサークルの先輩の留学先がバースで、特に思い入れもなさそうにその街の事を話す様子を見ると、むしろ俺の方がその場所に行くべきだったのに、という思いがつのる。

 

人生とはしばしばそんなものだ。

欲しい人の手元ではなく、特に思い入れもない人の手元に何かの幸運が降ったりする。

思い入れもない人にとっては、別にそれは幸運でもない。

そうして出会いそこねる。

何かが生まれないまま過ぎ去っていく。

 

俺はR.E.M.のいくつかの曲を聞くと、ヨーロッパ、分けても特にイギリスの街並みへの郷愁を呼び起こされる。

R.E.M.が思いっきりアメリカの、アセンズという街のバンドであるにもかかわらず。

俺が郷愁を強く感じるのは、たとえば「Radio Song」のこのイントロ。

このギターの音色は、1991年のアルバム『Out of Time』のオープニングでもある。

 

 

 

 

1988年に『Green』でメジャーデビューした後、R.E.M.のポップネスは増大し、全世界で大ヒットを飛ばしまくった。

 

 

メンバーが欠けた1998年のアルバム『Up』でエレクトリカに傾倒した事は、かえってR.E.M.の叙情性の表現を深めた。

 

 

そしてこのバンドが元から持っている知性とロックネス。

さらにポストパンクの時代のバンドとしての、曲のミニマムなシンプルさ。

これらの要素(ポップネス、エレクトロニカ、知性、ロックネス、シンプリシティ)が最もバランスよく、聞きやすく、美しく混ざり合っているのが、2004年のこの『Around the Sun』だと思う。

 

パンクの要素を持つギターロックバンドとしてのR.E.M.に触れたいのなら、次の2008年の『Accelerate』か、1983年のデビューアルバム『Murmur』を俺はおすすめする。

 

 

ある時、たしか雑誌のR.E.M.特集で、アセンズという街並みの写真を見た時、俺は何かを納得した。

たしかあれは、メンバーが通っていたか、それかライブをした大学の写真だったと思う。

それは静かなアメリカの片田舎で、俺はその街並みに、バースと同じ郷愁を感じたからだ。

人をうちのめすアメリカの荒野ではなく、ヨーロッパから渡ってきた人たちが自分たちの落ち着ける街並みをそこに作り上げたアメリカ。

いいアルバムというものは、録られたその街と時代を音の中に感じさせるものだと、ボギー・ビレスビーがThe Byrdsのアルバムについて語りながら言っていた。

R.E.M.の音楽は、どこで録られたにせよ、いつもその音の中にアセンズを持っていたのではないかと思う。

 

↓こちらのNAVERまとめが見ごたえ充分なので貼っておく。
「R.E.M.の歴史」

 

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