広告

 

 

先日、ある地方都市に行ってきた。

いくつか感動的な場面に立ち会った。

何より俺を感動させるのは、自分たちの住んでいる地域のことを議論する人々の熱心さだ。

自分たちの地域の課題について、自分の考えを持ち、お互いの考えを交換し合う。

 

地方のほうが、都市部よりも、政治がリアルだ。

課題は、今そこにある。

水門、開けるのか閉めるのか。

補助金頼りの農家、どうやって競争力高めるんだ。

若者はみんな都市に向かう中、Uターンをうながせるのか。

 

場合によっては、課題解決は「都市部の最先端の技術や知見で一括ソリューション」みたいなことは起こりうる。

あるいは、あらがえない時代の流れで、どうしたってそうでしかない意思決定が、意に反して目の前に降りてくるということもある。

自治体再編、施設の統廃合、選挙結果、法改正。

そういう時、自分たちが積み上げてきた議論や工夫が、ある一晩を境に、すべて無意味になることもある。

 

そういうことは起こり得るけれど、しかしやはりそこに住む人たちの議論や工夫が、尊いのである。

なぜかと言えば、結果を引き受けるのも当人たちだから。

「なぜそこまでいろいろと考え、手を尽くすのですか?」。

未熟な俺はそんなことを聞いてみた。

「そりゃあ、逃げられないもんな。ここで生きていくからな、魅力ある場所にしたいよ」。

 

上手くいくこともあれば、上手くいかないこともある。

自分が主張していたのとは違う展開になることもある。

悔しかったり、嬉しかったり、楽しかったり、悲しかったりすることもある。

成功したり失敗したりする中で、どうであろうと、基本的にはそこに人は住み続ける。

その結果の中で生きていく決定を、自分たちで決めるということが、尊い。

結果が正しかろうと間違っていようと、そこで生きる。

生きながら、みんなで考える。

国破れようとも山河はあり、山河があれば人が住む。

This land is your landであり、This land is my landだ。

 

 

とか言いつつ、特に自分の住む土地の政策に対して意見も持たない、ノンポリ極まる私である。

生活に追われていまして…、貧すれば鈍するのですよ…。

そういう問題じゃないか。

危機感かな。

 

見知らぬ土地の見知らぬ人たちに囲まれた温かき部屋にて、昼飯をふるまってもらった。

「他じゃ食えねえよ、こんなの」と言いながら出された「サバ缶うどん」を、椀からこぼれるほど2杯もすすった。

緑色が鮮やかな「柚子胡椒」が、辛くて芳しくて、美味いのなんのって。

食後には、みかんと、特大の柿。

 

おっさんが一人、柿をほおばりながら粗雑な感じで言い放った。

「俺、こないだ発見しちゃったよ。

あそこのファミリーマートな、あそこの喫煙所あるだろ。

海がブワーって、端っこから端っこまで見えてな、一番見えるんじゃないか。」

横の女性があいづちを打つ。

「あぁ、うちの旦那も通勤の時、毎日そこでタバコすってるな」

「そうだろ。あそこ、椅子が置いてある。一番きれいなの、みんな知ってるんだな」

 

毎日、毎日、何十年もその土地で生きていて、未だに新しい景色を発見して感動しているのである。

日本人の精神性の特徴として、「国土への強い愛」を挙げていた古い有名な本があった気がするけど、忘れた。

新渡戸稲造? 違うな。

誰か思い当たったら、教えてください。

 

 

広告