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※「トラックス&ストーリーズ」は、曲を聞いて書いた小説のシリーズです。

 

コリーヌ。

お前の肌はショコラだ。

悠然と波打ち際を歩いてくる。

そんなに白い砂の上に、お前の足跡はやけにくっきりと残るんだな。

優しいピンクの太陽に照らされたこのビーチで、どうしてお前の肌は焼けるんだ?

同じピンクの眩しい空の下にいるはずなのに、俺の肌はちっともヒリつきやしない。

 

コリーヌ。

何気なく挨拶して俺の隣に座る。

お前はどこから歩いてきた?

お前の部屋に残してきた男について、俺は何も知らない。

聞いたとこでは、風貌が俺に似ているらしい。

「マヤは?」お前は尋ねる。

「知らね。また手近な男と何かしてるだろ。」

「冷たいよね」

俺が?

俺が冷たいのか?

人当たりを良くすれば、俺は冷たくないのか?

「ザ・ジーの店でまた集まろうよ。ユージーンとか誘ってさ」

それだけ言って、お前は立ち上がる。

好きにしやがれ。

 

俺と会ったことで、あいつの男はまたあいつを責めるだろう。

コリーヌ。

俺はとびきりの「おかず」というわけだ。

これからあらゆるマティーニを味わう上で、俺みたいなオリーブは、もはや他では手に入れられない。

取替えの利かない俺への優しさが漏れちまってるから、お前の男は怒るんだ。

お前がこれから知ることになる無数のマティーニの一つでしかないと、ヤツは気づいているから。

それでお前の男は、より貪欲にお前を抱く。

それがセックスってものだが、愛に惑うお前は、どうしていいのかわからない。

俺と同じで。

 

ザ・ジーの店の暗闇には、濃い紫と鮮やかな青のゾウが飛んでいる。

それはホログラムであると同時にガスだ。

鼻をつく清潔な薬品と人の皮脂の入り混じったにおいは、火花一つが危険なことになりそうなアトモスフィアだ。

バンドタイムにはいつもの仲間で、気取らない刺激的な会話をする。

DJタイムは23時からだ。

コリーヌ。

俺が合図を送ると、お前はいつも自然な感じで受けてくれる。

俺が初めて愛を打ち明けたのがお前で、お前が初めて心を許したのが俺だ。

俺とお前だけは、踊るだけで十分なのかもしれない。

 

湾曲しながら延々とつづくビーチ。

ビーチと向かい合うように延々とつらなっていく低層型の宿舎。

その無数の部屋のどこかに、お前は帰っていく。

そして遠くない未来、ビーチとは反対の入り口から、誰もが去っていく。

コリーヌ。

俺だけが取り残されるような気がする。

この、永遠の波が打ち寄せる、

肌に刺さらない温かいピンク色の太陽光と空に照らされる、

ピンクビーチに。

 

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